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これまでの歩み

北海道大学時代: 大学生・大学院生(1998.4~2009.3)

  • 1998.4  ~1999.9  北海道大学 工学部 情報エレクトロニクス系

  • 1999.10~2002.12  北海道大学 工学部 システム工学科

  • 2003.4  ~2005.3  北海道大学大学院 工学研究科 システム情報工学専攻

  • 2005.4  ~2009.3  北海道大学大学院 情報科学研究科 システム情報科学専攻

 

システム基礎論研究室【島先生時代】2000.10~2004.3

 

ものづくりに興味が無いのにうっかり工学部に入ってしまった私の救世主となった島公脩教授(現:北海道大学名誉教授)の研究室は「工学部数学科」と陰で呼ばれる存在でした。制御工学というよりは寧ろ数学や物理学に基づいたダイナミカルシステムの理論を勉強させて頂きました。解析力学,量子力学,多様体,そして非線形最適制御。拘束の緩い研究室で,のびのびと勉強させて頂きました。現在の私の研究分野は「制御工学」というよりは「制御科学」と言った方が適切なところがありますが,このような視点は島先生時代に醸成されたものと考えられます。

ただ,大学5年目~修士1年の間は勉強や研究よりもアルバイトに多くの時間を割いていました。島先生にはたしなめられていましたが,このときの経験は後の学生指導に活かされていると信じております。

システム基礎論研究室【山下先生時代】2004.4~2009.3

修士2年生になると,島先生が定年退職され,島先生の「一番弟子」である山下裕教授(現職)が着任されました。山下先生は数学・物理学に加えて情報科学の視点からも制御理論を研究されておりますので,私もその影響を受けております。修士論文や博士論文では風上差分(一種の有限差分近似)をベースとした数値解法を使いましたが,これは山下先生の発案によるものです。この時代には,非ホロノミックシステム,リャプノフ安定論,確率システム理論といった,現在の私の研究内容に直接結びつく内容を勉強させて頂きました。

 

北海道大学外における多くの先輩研究者とお知り合いになったのもこの時代です。同年代の研究仲間もできました。

 

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山口大学時代: 助教

  • 2009.4~2012.3 山口大学 大学院理工学研究科電子システム工学専攻/工学部電気電子工学科

 

北海道大学で博士号を戴いたあと,山口大学の田中幹也教授(現:明治大学教授)に拾って頂きました。田中先生からは主に教員としての矜持や心がけについてとてもたくさんのことを教えて頂きました。特に「工学部で生きていくのにものづくりに興味がないとか言ってられないだろう」という真っ当なご意見には痛み入りました。そこで田中先生がされている超音波モータのサーボ制御にトライしてみたところ,理論通りにモノが動くというのはとても楽しいことなのだと(ようやく)知り ました。なんと,私を長年苦しめていた「ものづくりに興味がない」というのは単なる「食わず嫌い」だったのです。このとき,私の研究内容に「制御工学」の要素が入りました。

 

また,同じ研究室には若佐裕治准教授(現:教授)がおられました。若佐先生はいわゆる「線形制御理論」を基礎においた研究をされており,「非線形制御理論」を基礎におく私にとってその考え方はとても新鮮に映りました。特に,FRITは線形制御理論に深く立脚しており(と私には見えました),遅ればせながら線形制御理論の美しさを垣間見ることができました。また,最適化のための数値アルゴリズムの使用や構築,確率安定論を使った解析,といった,私にとっては馴染みやすいテーマがあり,親しみながら関わらせて頂きました。制御工学における視野が,若佐先生のお陰で広がりました。

なお,当時は(今もわりあいとそうですが)助教のポストは正規であっても任期付きがほとんどで,私も5年の任期で採用されました。任期があることをポジティブに捉えると,サボらずに業績を出すモチベーションが強制されるということになりますので,ありがたい側面もあります。任期5年再任1回数年,合計で 7~10年程度あればステップアップできるでしょうという意見にも理があります。しかし,転職への制約が大きい今の日本では,任期付きというのはとても圧迫の強いものです。例えば,トラック100mを20秒で走れと言われたとします。これは平地であれば難なくできるでしょう。しかし,幅数十センチのコースのすぐ外側が左右ともに崖だったとしたら? 風もびゅんびゅん吹いてます。私は任期付きとはそういうものだと考えております。私の場合は崖の両側から田中先生と若佐先生に支えて頂けたため,順調なステップアップができました。

山口大学時代にも,多くの出会いがございました。同じ山口大学工学部において,分野の異なる若手研究者の知り合いが増えました。現在でもたくさんお世話になっております。

 

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鹿児島大学時代1: 准教授

  • 2012.4~2020.3 鹿児島大学 大学院理工学研究科機械工学専攻/工学部機械工学科

 

学生時代は情報系,助教時代は電気電子系と来て,准教授時代は機械系に所属することになりました。加工の近藤英二教授(現:名誉教授),流体の中尾光博助教(現:准教授),制御の私という異色の組み合わせで研究グループを組むことになりました。近藤先生とは振動制御(アクティブ動吸振器など)で共同研究させて頂き,中尾先生とはカルマンフィルタのあたりで関わらせて頂きました。どちらも確率システム制御理論が活用できる分野であるため,有意義な連携でした。特にアクティブ動吸振器の研究は,非線形制御・確率制御どちらのアプローチからでも新しい知見が得られそうな予感がしました。

2016年4月には,中尾先生のご昇進に伴い中尾研究室が別グループになり,その後に着任された田淵大介助教(現職)の研究室がグループに加わりました。さらにその後,近藤先生と田淵先生が精密加工に特化した研究グループを形成されたことに伴い,制御理論主体の当研究室は余永教授の知能ロボット工学に関わる研究グループに移ることとなりました。

鹿児島大学時代2: 准教授

  • 2020.4~現在 鹿児島大学 大学院理工学研究科工学専攻/工学部先進工学科 機械工学プログラム

改組に伴う学科統合により,機械工学科は先進工学科機械工学プログラムとなりました。前時代で述べた研究グループ制は残りましたが,建物の全面改修(2018.7~2019.4)に伴う研究室スペースの抜本的な配置換えがあったこともあり,当研究室は事実上,独立した研究室として自立しました。現在では「実応用に役立つ非線形制御理論の開拓」「工学的要素に限らない広い意味での制御理論=制御科学」「非線形制御理論の応用研究」を行っております。一つ目は理論好きな工学系学生のため,二つ目はものづくりに興味がないのにうっかり機械工学科に来てしまった学生のため,三つ目はものづくりが好きなのにうっかり当研究室に来てしまった学生のため,という大義名分を掲げて日夜研究に勤しんでおります。私自身はどれも楽しくやっております。

2022年現在の共同研究としては,田中幹也先生(明治大学),中村文一先生(東京理科大学),椿野大輔先生(名古屋大学),田淵大介先生(鹿児島大学),星野健太先生(京都大学)と進めているものがあります。皆一流の方々ですので議論の度に有益な経験が溜まり,とても感謝しております。

 

と,ここまで「読めて」かつ「西村に違和感を感じなかった」学生であれば,当研究室に適しています。大学院まで残れば,国内出張は確実に行けますし,頑張れば海外出張にも行けます(実績有)。ぜひ一緒に研究してみませんか?

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